外国人労働者の離職率は日本人よりも高い?現状・原因・対策・定着方法を紹介

外国人労働者の離職率は日本人よりも高い?現状・原因・対策・定着方法を紹介

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初めて外国人労働者を受け入れる企業の多くが、「外国人は離職率が高い」「すぐ辞めてしまうのでは?」という不安を抱えています。

離職理由は本人の希望や職場の状況などによって異なります。国籍だけで離職しやすさを予測せず、退職記録と本人への聞き取りを通じて確認してください。

本記事では、外国人労働者の離職率の現状データ、離職理由、日本企業で起こりやすい課題、そして長期定着につながる対策方法まで網羅的に解説します。「採用したのに続かない…」「どこから改善すべきかわからない」という企業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

合同会社エドミール代表社員・武藤拓矢

合同会社エドミール 代表社員

武藤 拓矢

合同会社エドミール代表社員。外国人材の採用・受入れと生活・就労支援に携わり、特定技能の制度や受入れ実務を解説しています。経歴・対応範囲はプロフィールをご確認ください。

武藤 拓矢のプロフィール

外国人労働者数の現状を確認する

人数は厚生労働省「外国人雇用状況」の届出集計で、基準年月と対象範囲を確認します。「在留外国人全体」と「雇用されている外国人労働者」は母数が異なります。

離職率を比較する前に母数を確認する

雇用動向調査の離職率を「日本人のみ」と読み替えたり、別の調査年・在留資格・産業の率と単純比較したりすることはできません。離職者数の割合と、退職理由の構成比も別の指標です。

比較には調査名、対象年、分母、雇用形態、在留資格、産業の一致が必要です。本稿では一次表を十分に照合できない国籍別・分野別率を載せず、個社の退職記録と本人面談に基づく確認項目を紹介します。

統計の確認先:厚生労働省「外国人雇用対策」。

外国人労働者が離職する理由・原因

離職理由は個人と職場によって異なり、言語・労働条件・相談体制などを本人への聞き取りで確認します。ここでは、現場で起きやすい具体例と対策の考え方を整理します。

なお、外国人労働者の離職理由について詳しく知りたい方は「特定技能外国人の離職理由」をご覧ください。

理由①労働条件が事前説明と異なる

労働条件の事前説明と実態のずれは、退職面談で確認したい項目の一つです。給与、控除、勤務時間、休日、残業量を具体的に説明し、相違があれば理由と対応を話し合います。

  • 「残業あり」と聞いていたのに、実際はほとんど仕事がない
  • 「昇給制度あり」と説明されたのに、仕組みが存在しない
  • 「給与は◯万円」と言われたのに控除後の手取り額が大幅に違う

特に、給与の控除項目(家賃・水道光熱費・社会保険料など)が事前に共有されていない場合、最初の給与明細で不信感が一気に高まるケースが多くあります。

そのため、外国人採用を行う企業では、専門家を面接に招いて面接を行う、あるいは労働条件通知書で重要なポイントが何かを確認してから面接・採用することをおすすめします。

理由②給与含む待遇についての不満

賃金、休暇、家族生活、キャリアの優先順位には個人差があります。国籍や世代で一律に決めず、本人の希望と契約条件を照合してください。

また、外国人労働者が努力し続けるとどのように給料に還元されるかの「ロードマップ」を作成することもおすすめします。「この技術を覚えたら昇給」など、わかりやすいロードマップを作成してあげることが、長期定着に寄与します。

理由③帰国してしまう

帰国の理由には家庭・健康・将来計画など様々な事情があります。以下は考えられる状況の例で、頻度や順位を示す統計ではありません。

  • 一時帰国中に家族の病気が発覚し、日本へ戻れなくなる
  • 久しぶりに家族と過ごしたことで、日本での生活に意味を見いだせなくなる
  • 同じ国籍の仲間が先に退職・帰国し、孤独感から同調して帰国する

年金の脱退一時金には資格・期間等の要件がありますが、その制度のみから本人の帰国意思を推測しないでください。本人の意思確認と制度説明を分けます。

採用面談では、帰国予定や厚生年金の加入歴(脱退一時金の受給可否に関わる期間)もヒアリングし、一時帰国・帰国後の継続意向と合わせてリスクを整理するとよいでしょう。

理由④指導方法や相談環境によるストレス

指導が本人にどう伝わったか、相談しやすい窓口があるかを面談で確認します。国籍から受け止め方を決めつけないでください。

指示の受け止め方は国籍に限らず経験や個人によって異なります。公の場での人格否定を避け、作業内容・基準・改善方法を具体的に伝え、理解を確認します。

宗教や価値観についても本人の希望を聞き、同意の範囲で必要な配慮を職場に共有します。

理由⑤マニュアル不整備による不安・ストレス

外国人労働者が働く環境で意外と多い離職理由が、「仕事の進め方が曖昧で理解できない」というケースです。特に製造業やサービス業では、経験値や空気感で業務を進める場面が多く、言語・文化が異なる外国人材にとって「正解がわからないまま作業を続ける状態」は大きなストレスにつながります。

マニュアルには作業順序、数量・時間・品質の基準、困った場合の相談先を記載し、写真や具体例を使って理解を確認してください。

  • 「急いで」=どの程度の速さ?
  • 「丁寧に」=何が基準?
  • 「もう少し頑張って」=どこを改善すべき?

このように曖昧な表現は、外国人材にとって「正しいか間違っているか判断できない指示」となり、結果的に萎縮・不安・失敗の連鎖につながります。

そのため、外国人労働者の受け入れを行う企業では、次のような取り組みが効果的です。

理由⑥会社特有の日本語

職場で使われる専門用語や略語、現場独自のルールは、日本人でも理解が難しいことがあります。

外国人労働者にとっては、意味が曖昧なまま作業が進むことで不安やミスを生み、結果的に自信喪失や疎外感につながります。外国人が在籍する現場では、言い換え・可視化・共有ルール化が重要です。

理由⑦キャリアプランが明確でない

外国人労働者は「どれだけ努力すれば、どんな未来が得られるのか」を重視します。

昇給基準や役職ステップが曖昧な職場では、将来が見えず転職や帰国を選びやすくなります。評価制度やキャリアマップを公開し、将来像を示すことで長期定着につながります。

外国人労働者の長期定着を実現するための離職対策方法

対策①外国人労働者とのコミュニケーション

相談役を設け、入社初期から定期的に労働条件・業務理解・生活上の困りごとを確認する運用を提案します。効果は面談記録と退職理由を通じて検証し、改善を保証するものではありません。

業務指示だけでなく、日常会話や雑談など、心理的距離を縮める機会を意図的に作ることが重要です。

武藤 拓矢

合同会社エドミール 代表社員

武藤 拓矢

外国人労働者の国籍の母国料理を一緒に食べる取り組みは、人材側との距離をグッと縮めることができるのでおすすめです!

対策②外国人労働者のメンターを選任する

相談役の担当者、連絡方法、対応時間を明確にします。担当者が不在の場合の代替窓口も定め、相談内容は本人のプライバシーに配慮して記録してください。

対策③専用の教育マニュアルを用意する

業務マニュアルがない職場は、外国人労働者にとって非常に働きづらい環境です。写真・動画・図解を使ったマニュアルは、言語差を補い、理解スピードを高めます。また、教育担当者による指導のばらつきも防ぐことができます。

対策④文化の違いを理解する研修を社内で実施する

企業側が外国人材の文化や価値観を理解することも重要です。宗教・食事・休日・コミュニケーションのスタイルなどを事前に知っておくことで、不要なトラブルや誤解を減らし、双方が働きやすい環境を整えることができます。

武藤 拓矢

合同会社エドミール 代表社員

武藤 拓矢

現場の従業員に、国籍別の宗教観・価値観の違いを理解してもらうことは非常に重要です。

対策⑤キャリアプランを事前に提示する

昇給・役職・資格取得の条件を具体的に説明し、本人の希望する働き方と照合します。在留資格の変更が必要な場合はその要件も確認し、実現を確約する説明は避けてください。

外国人の離職でよくある質問

外国人労働者の離職は防げますか?
離職を一律に防ぐことや改善幅の保証はできません。本人の意向を尊重し、労働条件の透明化、相談体制、教育手順、キャリア説明を整え、個社の記録で効果を確認します。
離職しやすい外国人材の特徴はありますか?
特徴よりも、環境とのミスマッチが離職につながります。給与体系が曖昧、相談相手がいない、評価基準が不明など、制度や教育不足が原因になるケースが多く、「人材の質」ではなく「受け入れ側の仕組み」が鍵となります。
言語の壁がある場合、どのように教育すべきですか?
文章や説明よりも「視覚情報」を活用することがポイントです。写真・動画・手順書・翻訳アプリなどを組み合わせることで、教育効率が大きく向上し、誤解やストレスを防ぐことができます。
定着率を上げるために最初に取り組むべきことは?
最初に着手すべきは「労働条件と実態の差をなくすこと」です。給与・控除・残業・評価制度を事前に整理し、採用時点で明確に伝えることで、不信感や早期離職を防ぐことができます。

離職理由を把握し受入れ体制を見直す

離職を一律に防ぐことや改善幅の保証はできません。本人の意向を尊重し、労働条件の透明化、相談体制、教育手順、キャリア説明を整え、個社の記録で効果を確認します。

外国人材は適切なサポートと環境が整えば、企業にとって長期的な戦力になります。「採用したけれど続かない」「どう定着させればよいか分からない」という企業こそ、今日からできる対策から始めてみてください。