特定技能「鉄道」分野での外国人材採用ガイド|制度概要と導入ポイント
公開日
最終更新日
特定技能「鉄道」は、2024年4月から新たに制度対象となった分野で、車両整備や施設保守など現場の専門技術職において外国人材の受け入れが可能となりました。高齢化や人材不足が深刻な鉄道業界にとって、即戦力となる技能者を確保する新たな手段として注目されています。
本記事では、制度の概要、対象業務、試験要件、受け入れ手続き、支援体制、導入事例、そして今後の展望まで、鉄道分野で外国人材を受け入れたい企業に役立つ情報を網羅的に解説します。

合同会社エドミール 代表社員
武藤 拓矢
合同会社エドミール代表社員。外国人材の採用・受入れ・定着支援に関する情報を発信しています。経歴や支援方針は会社概要をご確認ください。
武藤 拓矢のプロフィール特定技能制度とは?
特定技能制度は、深刻な人手不足に対応するために2019年に創設された在留資格制度です。鉄道分野の追加は2024年3月29日の閣議決定によるものです。閣議決定の日と、受入れに必要な運用・試験の整備時期は区別して確認してください。
この制度を活用することで、技能評価試験と日本語試験に合格した外国人が最長5年間、特定分野で働くことが可能になります。企業には生活支援や相談対応などの支援体制も求められます。
鉄道分野が対象に加わった背景
鉄道業界は全国的に高齢化が進み、車両整備・施設保守・電気設備の保全など専門職の人材確保が困難な状況が続いています。特に現場作業を担う若手の採用が難しく、技能継承や安全運行の維持に課題が生じています。
こうした背景を受け、国土交通省と出入国在留管理庁は鉄道分野を特定技能の対象に追加。2024年から正式に受け入れがスタートしました。
特定技能「鉄道」で働ける業務
従来の対象業務は、設備保守・車両の整備や製造・運輸の現場業務の次の5区分です。さらに、2026年1月23日の閣議決定で「駅・車両清掃」が追加されました。追加区分の試験・具体的業務・受入れ開始に必要な条件は、最新の運用要領と実施元の案内を確認してください。国土交通省:鉄道分野の外国人材受入れ(2026年10月12日確認)
- 軌道整備(線路や橋梁、トンネルなど鉄道施設の保守・修繕)
- 電気設備整備(信号・通信・変電所など電気設備の点検・交換)
- 車両整備(車両の検査・分解整備・機器交換)
- 車両製造(鉄道車両の製造)
- 運輸係員(駅係員・車掌など運輸に関わる業務)
いずれも安全性・正確性・習熟度が求められるため、OJT研修・作業マニュアル・多言語対応などの教育体制の整備が重要です。
外国人を受け入れるための条件
企業が外国人を特定技能で受け入れるためには、以下の条件を満たす必要があります:
- 業務区分ごとの鉄道分野特定技能1号評価試験に合格
- 日本語能力試験N4以上、またはJFT-Basicの合格(運輸係員区分はN3以上。2027年4月1日以降の認定申請からはB1相当以上)
- フルタイムの雇用契約。雇用契約の期間と、特定技能1号の通算在留期間(原則5年)は区別する
- 支援計画の策定と義務的支援10項目の実施
支援体制は自社で実施することも可能ですが、登録支援機関に委託する企業が多く、通訳・生活支援・報告義務対応を一括で任せられるのが特徴です。
受け入れまでの手続きフロー
- 試験合格者の選定(技能・日本語)
- 雇用契約と支援体制(自社or委託)の確保
- 支援計画の策定と提出
- 在留資格認定証明書(COE)の申請
- ビザ発給・来日・就労開始
- 定期面談・支援報告の実施
求人・面接時のポイント
特定技能外国人の採用では、求人票や面接内容に以下の点を明記・確認することが重要です。
定着まで含めた支援内容は、特定技能「鉄道」の受け入れ支援についてお問い合わせください。
- 業務内容を具体的に記載(例:車両点検、線路修繕など)
- 労働条件(賃金、残業、休日、手当)の明示
- 性別・国籍による制限は不可(法令違反)
- 教育体制(研修・マニュアル・通訳有無)の説明
面接時には、日本語理解・安全意識・体力・健康状態なども適性評価の重要ポイントです。
導入事例:鉄道業界での先行採用
以下は受入れ体制を検討するための仮想例です。実在企業の採用実績や定着効果を示すものではありません:
- 地方鉄道の検討例:整備人材の採用前に、住居とOJT担当者、安全教育の体制を整える。
- メンテナンス事業者の検討例:技能・日本語要件を確認し、自社支援と登録支援機関への委託を比較する。
受入れ企業は、先輩社員とのペア作業、定期フォロー面談、住居や食事に関する支援などを、業務と本人の希望に合わせて検討してください。
今後の制度動向と展望
今後の制度動向として、以下のような点が挙げられます:
- 運輸係員区分の日本語要件の引上げ(2027年4月1日以降の認定申請からB1相当以上)
- 評価試験の実施国・会場・申込方法の最新案内の確認
- 教育プログラムの共通化・標準化
最新情報は国交省・出入国在留管理庁・各試験実施団体の公式発表を随時確認することが推奨されます。
特定技能「鉄道」のよくある質問
- 特定技能「鉄道」で認められている業務は何ですか?
- 従来は軌道整備・電気設備整備・車両整備・車両製造・運輸係員の5区分です。2026年1月23日の閣議決定で駅・車両清掃が追加されました。業務範囲、試験と実際の受入れ条件は国土交通省の最新運用要領で確認してください(2026年10月12日確認)。
- 特定技能1号での在留期間はどれくらいですか?
- 通算で最長5年間まで在留可能です。1回に付与される在留期間は3年・1年・6か月・4か月のいずれかで、更新しながら就労します。鉄道分野は特定技能2号の対象外です。
- 外国人を雇用する企業に必要な条件はありますか?
- はい。技能評価試験に合格した人材との契約、支援計画の策定、登録支援機関との契約(または自社支援体制)などが必要です。協議会への加入も求められます。
- 鉄道分野の試験はどこで受けられますか?
- 試験の業務区分、会場、実施国と申込方法は、国土交通省と各試験実施機関の最新案内で確認してください。オンライン受験や実施国拡大を確定事項として案内するものではありません。
- 駅務員や運転士も対象になりますか?
- 駅係員や車掌などの業務は、業務区分「運輸係員」として対象です。日本語はN3以上(2027年4月1日以降の認定申請からはB1相当以上)が必要です。運転士を含め、従事できる業務の範囲は分野別運用要領で確認してください。
まとめ|鉄道インフラを支える外国人材の可能性
特定技能「鉄道」は、現場の人手不足を解消し、次世代のインフラ維持を支える重要な制度です。
外国人材の適切な採用・育成・支援体制を整えることで、安全・品質・持続性の高い運行体制を構築できます。
制度の本格運用が始まった今こそ、先行して対応する企業が人材確保競争で優位に立つチャンスです。

