特定技能「航空」の可能業務・基本情報・外国人要件・採用条件
作成日:2024年10月15日
最終更新日:

特定技能「航空」は、日本の空港現場における人手不足を補うために設けられた制度で、外国人が地上業務や整備補助などで活躍できる仕組みです。
空港業務は安全性・正確性が求められる専門的な分野ですが、特定技能制度によって技能試験に合格した外国人材が、即戦力として現場に参加できるようになりました。
本記事では、対象となる業務内容、受け入れ企業側の要件、外国人が満たすべき条件、支援体制までを網羅的に解説します。

合同会社エドミール 代表社員
武藤 拓矢
2018年に外国人採用領域の大手企業に入社し、技能実習・特定技能・技人国の全領域に携わる。のべ600名以上の採用支援実績をもとに、登録支援機関「合同会社エドミール」を設立。2025年には4つの商工会議所で「外国人活用セミナー」の講師を務める。
武藤 拓矢のプロフィール特定技能「航空」で従事できる業務内容
特定技能制度の対象に航空分野が加わったことで、空港内での地上業務や整備補助といった専門職に、外国人材が就労できるようになりました。現場では迅速性と安全性が求められ、制度上も業務が「主たる業務」と「関連業務」に分かれています。
主たる業務
航空分野における主な業務は以下の通りです。
- 手荷物や貨物の積み下ろし・仕分け
- 航空貨物の搬送・検査・保管管理
- 航空機の整備補助(工具管理・部品運搬など)
これらは空港の安全と運航の時間厳守を支える重要な作業であり、体力と判断力、チームワークが求められます。
関連業務
主業務を補助する関連業務としては、以下が挙げられます。
- 作業場の清掃や設備点検
- 保安区域の備品管理
- 機材・車両の簡易点検・補充業務
全体の業務効率や安全管理の質を高める役割を果たします。
特定技能「航空」の基本情報
特定技能「航空」は、国土交通省が認める「空港グランドハンドリング」および「航空機整備補助」の2業務に限定されており、技能評価試験や日本語試験の合格者に就労が許可されます。対象は特定技能1号のみで、在留期間は最長5年です。
雇用できる人数・期間
受け入れ企業の規模や空港の業務量に応じて雇用人数は調整されます。特定技能1号としての就労期間は最大5年間で、更新制により継続が可能です。特定技能2号は航空分野では現在対象外です。
特定技能「航空」で外国人を受け入れる企業の要件
空港業務における安全管理体制の確立
航空業界は特に安全性が求められるため、企業は空港保安体制・安全教育・作業マニュアルの整備など、事故防止に向けた徹底した管理体制を構築しておく必要があります。
航空分野特定技能協議会への加入
受け入れ企業は、航空分野特定技能協議会への加入が必須です。協議会を通じて、制度運用に関する報告、適正な受け入れ人数の管理、安全対策に関する共有などが求められます。
支援体制の整備(義務的支援10項目)
外国人労働者が安心して就業できるように、住居確保、生活オリエンテーション、日本語学習支援、相談対応、定期面談などの「義務的支援10項目」を企業が自社で実施するか、登録支援機関へ委託する必要があります。
特定技能「航空」で働く外国人の要件
特定技能「航空」として就労するには、以下の2つの要件を満たす必要があります。
- 技能評価試験の合格:航空業特定技能評価試験(グランドハンドリングまたは整備補助)
- 日本語試験の合格:JLPT N4以上またはJFT-Basicに合格
また、技能実習2号を同分野で良好に修了している場合は、試験が免除されるケースもあります。
特定技能「航空」の雇用条件と注意点
空港作業に関する実務経験
航空貨物や地上業務の経験がある外国人材は、即戦力としての活躍が期待されます。未経験者でも評価試験合格後に研修を経て配属されるケースもありますが、安全意識や体調管理が特に重視されます。
外国人対応の労務管理と教育体制
外国人とのコミュニケーションや作業指導の際には、日本語能力や文化理解を踏まえたマニュアルや指導体制の整備が重要です。定着率を高めるには、現場リーダーへの多言語対応やサポート人材の配置も効果的です。
支援の委託・自社対応の選択
支援体制は、社内に支援責任者を設置して自社で行う方法と、登録支援機関に委託する方法があります。航空業界では業務が多岐に渡るため、多くの企業が外部支援を活用しています。
特定技能「航空」のよくある質問
Q. 特定技能「航空」ではどんな仕事ができますか?
空港内での地上支援(手荷物の仕分け・積み降ろし)、貨物管理、整備補助作業などに従事できます。安全性とチームワークが重視される現場です。
Q. 技能実習から特定技能「航空」に移行できますか?
航空分野は技能実習制度の対象ではないため、評価試験の合格が原則必要です。試験は年数回実施され、筆記と実技で構成されます。
Q. 外国人を受け入れる企業にはどんな条件がありますか?
航空業特定技能協議会への加入、安全管理体制の整備、義務的支援10項目の実施(または登録支援機関への委託)が必要です。
Q. 日本語力はどれくらい必要ですか?
日本語能力試験N4以上、またはJFT-Basicの合格が必要です。現場での報連相や安全確認のため、最低限の会話力が求められます。
Q. 支援体制は自社でやる必要がありますか?
自社支援も可能ですが、業務負担を軽減するため多くの企業が登録支援機関に委託しています。制度対応や通訳支援などに対応できます。
特定技能「航空」まとめ
特定技能「航空」は、空港現場の即戦力となる外国人材を受け入れることで、深刻な人手不足の緩和や業務の安定運用に貢献します。整備補助・荷物搬送など、安全かつスピーディな対応が求められる業務で、実務スキルを持った外国人が活躍の場を広げています。
企業側は、制度への正しい理解と支援体制の構築を進めることで、外国人材との信頼関係を築き、持続的な雇用・教育サイクルの確立が可能になります。