外国人労働者雇用労務責任者とは?義務・選任方法・必要な知識まで徹底解説
作成日:2025年5月7日
最終更新日:

外国人を雇用する事業所では、「外国人労働者雇用労務責任者」の選任が法令で義務付けられています。
この制度は、外国人労働者の雇用管理を適正に行うために設けられたものであり、特に実務担当者や人事労務部門にとって重要な役割を担います。

合同会社エドミール 代表社員
武藤 拓矢
2018年に外国人採用領域の大手企業に入社し、技能実習・特定技能・技人国の全領域に携わる。のべ600名以上の採用支援実績をもとに、登録支援機関「合同会社エドミール」を設立。2025年には4つの商工会議所で「外国人活用セミナー」の講師を務める。
武藤 拓矢のプロフィール外国人労働者雇用労務責任者とは
厚生労働省の通達により、外国人労働者を常時10人以上雇用する事業所は、「外国人労働者雇用労務責任者」を選任する必要があります。
これは外国人労働者の労働条件や社会保険の整備、在留資格の確認などを担当する責任者です。
ただし、登録支援機関に特定技能制度、あるいは監理団体に委託する場合は、それぞれの機関、組合の担当者が支援責任者(外国人労働者雇用労務責任者)となります。
外国人労働者雇用労務責任者の正式名称
外国人労働者雇用労務責任者は法律上の正式名称ではなく、在留資格ごとにある正式名称の総称を指す言葉として使用されております。
在留資格ごとの外国人労働者雇用労務責任者の正式名称は以下の通りです。
在留資格 | 正式名称 |
---|---|
技能実習制度 | 技能実習責任者 生活指導員 技能実習指導員 |
特定技能 | 支援責任者 支援担当者 |
出典
外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律
選任が義務付けられる条件
- 外国人労働者を10人以上常時雇用している事業所
- 労働契約、雇用条件、在留資格等の管理を行う必要がある場合
選任義務に違反した場合は、ハローワークによる是正勧告や、重大な場合には雇用主への指導が入ることもあります。
外国人労働者雇用労務責任者の主な役割
- 在留資格の確認・更新管理
- 労働条件の説明と契約管理
- 労災・社会保険加入の確認
- 職場でのトラブル防止、文化的配慮
- ハローワークなど関係機関との連携
必要な知識とスキル
責任者に選ばれたからといって、すぐに実務をこなすのは難しい場合もあります。次のような知識が求められます。
- 外国人雇用に関する法令(出入国管理法、労働基準法など)
- 各種在留資格の内容と許可条件
- 外国人雇用状況届出制度の運用
- 多言語対応、異文化理解
責任者の選任方法と手続き
- 社内で適任者を決定(人事部門・総務部門が一般的)
- 文書にて正式に選任(任命書など)
- 必要に応じてハローワークへ報告(指導があった場合)
外部委託は可能?
原則として、外国人労働者雇用労務責任者は社内の人物が担当すべきですが、コンサルタントや社会保険労務士などの外部専門家の支援を受けることは可能です。
ただし、最終責任は事業所にあります。
まとめ
外国人雇用が進む中で、適切な労務管理を行うためには「外国人労働者雇用労務責任者」の存在が欠かせません。
正しい知識と手続きに基づいて対応することで、外国人労働者も安心して働ける環境を整えられます。
外国人を雇用している、または検討している企業は、早めの体制整備をおすすめします。