特定技能(介護)2026年最新の制度・要件・申請ガイド
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特定技能(介護)は、深刻な介護人材不足を背景に2019年に創設された在留資格です。介護施設での身体介護・生活援助が認められ(訪問系サービスは2025年4月から一定の要件を満たす場合に従事可能)、2026年時点で受け入れ実績は着実に拡大しています。本記事では制度要件・試験・受け入れコスト・キャリアパスを、事業者と求職者の両視点から具体的に解説します。
あわせて特定技能介護1号の5年後の進路も確認すると、判断材料が増えます。
詳しい論点は、介護現場の人手不足の原因と対策でも整理しています。
実務寄りの内容は、介護分野で受け入れ可能な施設も参照してください。
あわせて外国人介護人材の採用方法も確認すると、判断材料が増えます。

合同会社エドミール 代表社員
武藤 拓矢
合同会社エドミール代表社員。外国人材の採用・受入れ・定着支援に関する情報を発信しています。経歴や支援方針は会社概要をご確認ください。
武藤 拓矢のプロフィール介護分野の在留資格の全体像
介護分野で就労できる在留資格は複数あり、それぞれ要件・業務範囲・滞在条件が大きく異なります。下表で4種類を比較し、特定技能の位置づけを確認しましょう。
| 在留資格 | 業務範囲 | 在留期間 | 家族帯同 | 主な要件 |
|---|---|---|---|---|
| EPA(経済連携協定) | 身体介護・生活援助(候補者段階は研修含む) | 最長4年(候補者)、資格取得後は「介護」へ移行 | 不可(候補者段階) | フィリピン・インドネシア・ベトナム国籍限定、送出し機関経由 |
| 技能実習(介護) | 身体介護等(1号は一定制限あり) | 最長5年(1〜3号) | 不可 | JLPT N4以上、監理団体経由 |
| 特定技能(介護) | 身体介護・生活援助等(訪問系は要件を満たす場合のみ) | 1回3年以内(通算原則5年・2号対象外) | 不可(1号) | 介護技能評価試験・介護日本語評価試験・JLPT N4以上 |
| 介護福祉士(在留資格「介護」) | 介護福祉士としての介護・介護指導業務 | 更新制(永住申請可) | 可 | 介護福祉士国家資格の取得 |
技能実習は2027年4月1日に「育成就労」制度へ移行することが決まっており、制度設計の変化が介護分野にも影響します。出入国在留管理庁:特定技能(介護)在留資格申請手続き
特定技能(介護)の制度概要・背景
特定技能(介護)は、構造的な人材不足を解消するための政策的在留資格として2019年4月に施行されました。
介護人材不足の実態
厚生労働省が2024年7月に公表した第9期介護保険事業計画に基づく推計によると、2040年度には介護職員が約272万人必要となり、2022年度から約57万人の上積みが必要と見込まれています。厚生労働省:介護分野における特定技能外国人の受入れについて高齢化の加速と生産年齢人口の減少が重なるなか、国内人材だけでは補いきれない状況が続いています。こうした背景から、外国人材の受け入れ拡大を制度として整備する必要が生じました。
特定技能(介護)の概要
在留資格「特定技能1号(介護)」では、身体介護(入浴・排泄・食事介助など)、生活援助、機能訓練補助、利用者・家族との相談対応などが認められています。1回に付与される在留期間は3年以内で、通算の在留期間は原則5年が上限です。介護分野は特定技能2号の対象外です。長期就労の選択肢には、介護福祉士資格を取得したうえでの在留資格「介護」への変更があります。厚生労働省の2026年の取扱いでは、通算5年の最終年度に介護福祉士国家試験の全パートを受験し、1パート以上に合格、かつ合格基準点の8割以上の得点を得るなど所定の要件を満たす場合に、翌年の試験に向けた在留期間延長が認められる特例があります。要件と申請手続を確認してください。厚生労働省:特定技能1号の在留期間延長(2026年10月12日確認)出入国在留管理庁:特定技能運用要領(介護分野)
特定技能(介護)の特徴・メリット・デメリット・注意点
受け入れ事業者と外国人求職者では、制度から得られるメリットと注意すべき点が異なります。
受け入れ事業者(介護施設)側の視点
- 即戦力として採用できる
技能実習と異なり、「育成」が目的ではなく「就労」が前提の資格です。一定の介護技術と日本語力が確認済みの人材を採用できます。 - 介護福祉士取得で長期就労につなげられる
特定技能1号の通算在留期間は原則5年ですが、その間に介護福祉士資格を取得すれば在留資格「介護」へ移行し、更新を重ねて働き続けられます。長期的な人材計画を立てやすくなります。 - 支援計画・協議会加入の義務がある
1号特定技能外国人支援計画の作成・実施と、介護分野の協議会への加入が必須です(支援は登録支援機関へ委託することも、要件を満たせば自社で行うこともできます)。管理コストと事務負担が発生する点は留意が必要です。 - 訪問系サービスへの配置には追加要件がある
訪問介護など「訪問系」サービスへの従事は、2025年4月から初任者研修等の修了や原則1年以上の実務経験などの要件を満たす場合に限り認められます。要件を満たさない場合の配置先は入所・通所・居住系施設です。
外国人求職者側の視点
- 資格取得で長期就労が可能
特定技能1号の通算在留期間は原則5年ですが、同一分野で継続的に働き、スキルと実績を積み上げられます。介護福祉士資格取得後は在留資格「介護」へ移行でき、永住への道も開けます。 - 家族帯同は不可(1号)
特定技能1号では配偶者・子の帯同が認められていません。家族と一緒に暮らしたい場合は、介護福祉士資格取得後の在留資格「介護」への移行を目指す必要があります。 - 試験合格が必要(免除規定あり)
介護技能評価試験・介護日本語評価試験の両方に合格しなければなりません。ただし、EPA介護福祉士候補者や技能実習介護2号修了者は試験免除の特例があります。
技能試験・日本語試験の詳細と合格に向けた準備
特定技能(介護)の取得には、3種類の試験すべてに合格するか、所定の免除要件を満たす必要があります。
必要な試験一覧
| 試験名 | 実施機関 | 合格基準 | 受験料(目安) |
|---|---|---|---|
| 介護技能評価試験 | 厚生労働省(委託:公益財団法人 介護労働安定センター) | 満点の60%以上 | 日本:2,000円(2026年10月12日確認)、海外:受験国の料金表による |
| 介護日本語評価試験 | 同上 | 満点の60%以上 | 日本:2,000円(2026年10月12日確認)、海外:受験国の料金表による |
| 日本語能力試験(JLPT)N4以上または国際交流基金日本語基礎テスト(A2以上) | 公益財団法人 日本国際教育支援協会 ほか | N4合格またはA2スコア以上 | JLPT:実施元の当該回案内を確認。JFT-Basic:日本10,000円(2026年10月12日確認) |
介護技能評価試験・介護日本語評価試験の開催日と会場は実施元の案内で確認してください。日本の受験料は各2,000円、JFT-Basicは10,000円です(2026年10月12日確認)。海外受験は国ごとの金額・支払条件が異なります。プロメトリック:国別受験料金
JLPT(日本語能力試験)は年2回(7月・12月)、国内外の多数の会場で実施されます。日本語能力試験(JLPT)公式サイト
試験免除の規定
以下のいずれかに該当する場合、介護技能評価試験・介護日本語評価試験・日本語試験がすべて免除されます。
- EPA介護福祉士候補者として所定の要件を満たす者
在留歴だけで免除されるわけではありません。候補者としての在留期間満了や国家試験の成績など、厚生労働省の移行要件を確認してください。 - 技能実習「介護」2号を修了した者
介護職種の技能実習2号を良好に修了すれば、3種類の試験がすべて免除となり、在留資格変更許可申請が必要です。 - 介護福祉士養成施設を修了した者
介護福祉士の国家資格取得者は試験免除の対象です(この場合は在留資格「介護」の取得も選択肢になります)。
合格に向けた準備のポイント
介護技能評価試験は、入浴・排泄・食事介助などの基本介護技術と安全管理に関する知識を問います。過去問を繰り返し解き、介護の専門用語を日本語で理解することが合格への近道です。日本語については、JLPT N4の語彙・文法に加え、介護現場で使われる敬語や報告表現の練習も効果的です。
詳しい論点は、在留資格「介護」と特定技能の違いでも整理しています。
導入を具体的に進める場合は、特定技能「介護」の受け入れ支援もあわせてご覧ください。
受け入れ機関・事業所の要件と協議会加入
介護施設が特定技能外国人を受け入れるには、法令上の要件をすべて満たす必要があります。要件を満たしていない施設への配置は認められません。
受け入れ可能な施設の種類
特定技能(介護)が認められる施設は、介護保険法・老人福祉法に基づく下記の施設・事業所です。
- 特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設(介護医療院含む)
- 通所介護(デイサービス)・通所リハビリ
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
- 特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム等)
- 短期入所生活介護(ショートステイ)
訪問介護などの訪問系サービスは、2025年4月21日から条件付きで従事可能になりました。介護職員初任者研修等の修了と、介護事業所等での実務経験(原則1年以上)を有する特定技能外国人について、受入れ事業所が研修・同行訓練・ハラスメント対策などの遵守事項を守り、協議会から適合確認書の交付を受けることが条件です。
介護分野協議会への加入義務
受け入れ機関は、地方出入国在留管理局へ在留諸申請を行う前に、厚生労働省が組織する「介護分野における特定技能・育成就労協議会」の構成員となる必要があります(受け入れた日から4か月以内に、協議会のシステムへ外国人の情報を登録します)。協議会では制度の適正運用に関する情報共有・監督が行われます。加入手続きはオンラインで完結し、費用は無料です。
支援計画の作成と登録支援機関の活用
受け入れ機関は、外国人の生活・就労を支援する「1号特定技能外国人支援計画」を作成・実施しなければなりません。支援計画の作成・実施を登録支援機関に全部委託することもでき、多くの介護施設が専門機関を活用しています。
委託先を選ぶ際は、介護に対応する登録支援機関の比較軸を確認してください。
受け入れにかかるコストの目安
下表は予算検討用の計算例で、市場相場や見積りを保証するものではありません。すべての項目が発生すると仮定した単純合計は47〜130万円です。国内採用か海外採用か、支援を自社で行うか、研修・住居の負担範囲などで実際の金額は変わります。採用前に対象業務、税区分、請求時期と重複項目を見積りで確認してください。
| 費用項目 | 金額目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 登録支援機関への委託費 | 月2〜5万円(年24〜60万円) | 支援計画の実施代行。施設が自社で行う場合は不要 |
| 渡航費・査証(ビザ)取得費 | 5〜15万円 | 海外からの招へい時に発生 |
| 住居確保費(敷金・礼金等) | 10〜30万円 | 住居を施設側が手配する場合 |
| 試験対策・研修費 | 3〜10万円 | 日本語教育・介護技術研修等 |
| 在留資格申請費用(行政書士報酬等) | 5〜15万円 | 申請を専門家に依頼する場合 |
国内在住者を採用する場合は渡航費が不要になるため、初年度コストを抑えられます。技能実習2号修了者は試験不要で移行できるため、採用コストをさらに削減できます。
受け入れ後の定着支援・離職防止とキャリアパス
採用後の定着率を高めるには、生活・業務・キャリアの三方向からの支援が不可欠です。受け入れ直後から継続的に取り組むことで、早期離職を防止できます。
定着支援・離職防止の具体的取り組み
- 日本語教育の継続
入職後もオンライン日本語講座や社内勉強会を設けることで、業務コミュニケーションの向上と職場への帰属意識の醸成につながります。月2〜4回のペースで実施している施設の定着率が高い傾向があります。 - メンタルサポート・相談窓口の設置
母国語で相談できる担当者を置くか、登録支援機関のサポートを活用し、文化的ギャップや職場の悩みを早期に解消します。 - キャリアパスの明示
入職時に「介護福祉士取得→在留資格『介護』移行→永住」までのロードマップを示すことが、長期就労意欲の向上に直結します。 - 生活環境の整備
住居・銀行口座開設・携帯電話契約などの生活サポートを入職直後に集中的に行い、日常生活の不安を取り除くことが早期離職防止に有効です。
介護福祉士へのキャリアパスと永住への道筋
特定技能(介護)で就労しながら実務経験を積み、介護福祉士国家試験に合格すると在留資格「介護」へ移行できます。在留資格「介護」では在留期間の更新に回数の上限がなく、家族帯同も可能になります。
- STEP 1:特定技能1号(介護)で就労開始
試験合格または免除要件を満たして入国・在留。介護施設で実務経験を積む。 - STEP 2:実務者研修の修了と国家試験受験
3年以上の実務経験と実務者研修修了が国家試験の受験要件。試験は毎年1月に実施される。 - STEP 3:介護福祉士資格取得→在留資格「介護」へ移行
資格取得後に在留資格を「介護」へ変更。通算在留期間の上限がなくなり、家族帯同も認められる。 - STEP 4:永住申請
在留資格「介護」での一定期間の在留実績を経て、永住許可申請が可能になる。
育成就労制度移行の動向と介護分野への影響(2026年最新)
2024年の入管法改正により、技能実習制度は2027年4月1日に「育成就労」制度へ移行することが決定しています。育成就労では、一定条件下での転籍が認められ、特定技能への移行も従来より円滑化される方向です。介護分野においても、育成就労修了者が特定技能(介護)へ移行しやすくなる見込みであり、2026年以降の制度動向を随時確認することを推奨します。
よくある質問
- 特定技能(介護)は何人まで受け入れられますか?
- 受け入れ上限は、事業所単位で日本人等の常勤介護職員の総数が上限となります(1対1が上限)。例えば介護職員が10人の施設では、特定技能外国人を最大10人受け入れられます。
- 技能実習2号修了者は試験なしで特定技能へ移行できますか?
- 介護職種の技能実習2号を良好に修了した場合、介護技能評価試験・介護日本語評価試験・日本語試験の3つすべてが免除されます。実習修了後、在留期間内に在留資格変更許可申請を行ってください。
- 特定技能(介護)で働く外国人の給与水準はどのくらいですか?
- 同等の技能を有する日本人と同等以上の報酬が求められます。全国の平均給与を、そのまま法定の最低給与とすることはできません。業務・経験・責任・所定労働時間などをそろえ、比較対象となる日本人の賃金との関係を説明できるようにしてください。
- 訪問介護事業所では受け入れできないのですか?
- 2025年4月21日から、介護職員初任者研修等を修了し、介護事業所等での実務経験(原則1年以上)を有する特定技能外国人であれば、受入れ事業所が遵守事項を守り協議会から適合確認書の交付を受けることを条件に、訪問介護などの訪問系サービスにも従事できます。要件を満たさない場合は、デイサービスや特別養護老人ホームなど、施設・居住系・通所系サービス事業所へ配置します。
- 協議会に加入しないとどうなりますか?
- 協議会の構成員であることは受け入れの要件のため、在留諸申請の前に加入していない場合は、特定技能外国人を受け入れることができません。加入手続きはオンラインで無料で行えますので、申請前に手続きを済ませてください。
まとめ
特定技能(介護)は、2040年度に約57万人の上積みが必要とされる介護人材の確保に向けた制度です。受け入れには介護技能評価試験・介護日本語評価試験・JLPT N4相当の合格(または免除要件の充足)、協議会加入、支援計画の整備が必要です。本記事の費用例の単純合計は47〜130万円ですが、市場相場や見積りを保証するものではありません。国内在住者や技能実習修了者の活用でコストを抑えることもできます。定着支援とキャリアパスの明示が離職防止の鍵となり、介護福祉士資格取得後は在留資格「介護」への変更を検討できます。永住許可は別の要件・審査によります。2027年4月の育成就労制度移行も見据え、制度変更の動向を継続的に確認しながら採用計画を立てることを推奨します。

