登録支援機関の選び方完全ガイド|費用相場・支援内容・見極めポイントを徹底解説

作成日:2025年7月23日
最終更新日:

特定技能制度における外国人材の受け入れでは、「登録支援機関」の選定が極めて重要です。登録支援機関とは、在留資格「特定技能」で来日する外国人に対して、生活支援や行政手続きのサポートを提供する専門機関のこと。選び方を間違えると、支援の質が不十分になり、外国人材の定着や法令遵守にも影響を及ぼしかねません。

本記事では、登録支援機関を選ぶ際に押さえておくべき知識やチェックポイント、よくある失敗事例、信頼できる機関の見分け方などを網羅的に解説します。これから特定技能人材を受け入れる企業担当者の方は、ぜひ最後までご一読ください。

合同会社エドミール代表社員・武藤拓矢

合同会社エドミール 代表社員

武藤 拓矢

2018年に外国人採用領域の大手企業に入社し、技能実習・特定技能・技人国の全領域に携わる。のべ600名以上の採用支援実績をもとに、登録支援機関「合同会社エドミール」を設立。2025年には4つの商工会議所で「外国人活用セミナー」の講師を務める。

武藤 拓矢のプロフィール

登録支援機関を選ぶ際の基本知識

登録支援機関の役割と重要性

登録支援機関は、特定技能外国人が日本で安心して働き、生活できるようにサポートする専門機関です。支援内容には、空港送迎・住居手配・生活オリエンテーション・行政手続きの同行・定期面談などが含まれます。これらは、出入国在留管理庁が定める「義務的支援」として企業側に実施義務が課されており、委託することで企業の負担を大きく軽減できます。

適切な登録支援機関を選ばなければ、外国人材が生活面で困窮したり、制度違反により企業側が処罰を受けるリスクもあります。特定技能制度における「適正な受け入れ」の実現には、信頼性の高い支援パートナーの存在が不可欠なのです。

特定技能制度の概要

特定技能制度は、深刻な人手不足が続く特定14分野(介護・外食・建設・農業など)において、一定の技能や日本語能力を有する外国人材の就労を認める制度です。2019年に創設され、在留資格「特定技能1号」では最長5年間の就労が可能です。

この制度を活用するには、受け入れ企業が登録支援機関を通じて支援体制を構築するか、自社内で支援責任者・支援担当者を選任してすべての支援業務を担う必要があります。制度の目的や運用ルールをしっかりと理解することが、登録支援機関の適切な選定につながります。

登録支援機関選びのチェックポイント

登録状況と許可の有無

まず確認すべきは、出入国在留管理庁に「正式に登録されているか」です。無許可で支援を行っている業者も存在するため、登録支援機関一覧(法務省サイト)で名称や所在地を確認しましょう。

支援実績と得意分野

過去にどの分野・国籍の人材を支援してきたかも重要な判断材料です。介護・建設・外食など、業界ごとに必要な対応が異なるため、自社の業種に特化した支援実績がある機関を選びましょう。

料金体系と契約条件

料金の明瞭さも見逃せません。「月額1万円」としていても、実際はオプション費用や交通費が加算されるケースもあります。見積書や契約書で提供内容と料金が明確に記載されているか確認しましょう。

登録支援機関の提供する支援内容

義務的支援

法律で定められた10項目の支援内容には、事前ガイダンス、入国時の空港送迎、住居確保支援、生活オリエンテーション、日本語学習の機会提供、相談対応、定期面談、行政手続き同行などが含まれます。

任意的支援

任意的支援には、レクリエーションの実施、地域社会との交流支援、母国語による相談サポートなどがあります。定着率向上に寄与する重要な要素であり、これらを積極的に提供している機関は信頼性が高い傾向にあります。

登録支援機関選びでの失敗事例

事例①:支援内容が形だけだった

名ばかりの支援で、実際にはガイダンスも面談も簡略化されていたケースがあります。結果として外国人材が孤立し、短期で退職してしまった例も。

事例②:料金が不明瞭で追加請求

契約時の説明に含まれていなかった費用が後から発生し、想定外のコスト増に。契約前の確認不足が原因となる典型的なトラブルです。

信頼できる登録支援機関の見分け方

  • 複数の企業から継続して依頼を受けている
  • 支援記録を適切に保存・報告している
  • 契約前に詳細な支援計画や見積もりを提示してくれる
  • 行政書士や通訳など専門スタッフが在籍している
  • トラブル時の対応や解約条件を明示している

登録支援機関を利用するメリット

業務負担の軽減と法令対応

自社で支援を実施する場合、制度の理解や申請書類の作成、行政対応など多くの負担が生じます。登録支援機関に委託することで、コンプライアンスを維持しながら本業に集中できます。

外国人材の定着率向上

生活支援が行き届かないと、外国人材は早期に離職するリスクがあります。登録支援機関による継続的なフォローは、定着率の向上と職場環境の改善に直結します。

登録支援機関選びに関するよくある質問

Q. 登録支援機関の費用相場は?

一般的に、支援委託費は月額2万円〜5万円が相場です。ただし、業種や支援範囲によって異なるため、詳細は各機関の見積もりを確認してください。

Q. 自社で支援を行うことは可能?

可能です。ただし、支援責任者と支援担当者を社内で選任し、10項目すべての義務的支援を実施できる体制が必要です。中小企業では人手不足やノウハウの不足により、委託が現実的な選択肢となることが多いです。

Q. 支援内容が不十分だった場合の対処は?

まずは契約内容を確認し、支援内容が明記されているかをチェックします。不足がある場合は改善を求め、対応がなければ契約解除や他機関への切り替えも検討しましょう。