特定技能 支援責任者とは?役割・要件・業務を完全ガイド

作成日:2025年7月28日
最終更新日:

特定技能制度では、外国人材を適切に支援するために「支援責任者」と「支援担当者」の選任が法令で義務付けられています。これらは制度運用の中核を担う重要な役割です。

合同会社エドミール代表社員・武藤拓矢

合同会社エドミール 代表社員

武藤 拓矢

2018年に外国人採用領域の大手企業に入社し、技能実習・特定技能・技人国の全領域に携わる。のべ600名以上の採用支援実績をもとに、登録支援機関「合同会社エドミール」を設立。2025年には4つの商工会議所で「外国人活用セミナー」の講師を務める。

武藤 拓矢のプロフィール

支援責任者と支援担当者の役割分担

支援責任者は支援計画全体を監督する責務があり、支援担当者を統括するとともに各項目の実施・記録管理を担います。支援担当者は日常的な支援実務(生活支援、公的手続きの同行、定期面談など)を直接行います。

制度上、支援責任者は支援担当者より上位の責任者であり、支援体制の適正運用と法令遵守の最終責任を負います。支援担当者は現場での支援を実行し、外国人と最も接点を持つ存在です。

選任要件:登録支援機関/自社支援の違い

登録支援機関でも自社支援でも、支援責任者と支援担当者の両方は常勤であることが推奨されます。役員や管理職が兼務する場合もあります。

支援責任者は過去2年以上の生活相談業務経験、外国人支援実績、登録拒否事由に該当しないこと、対象外国人の理解が可能な日本語力など複数要件をクリアする必要があります。支援担当者も類似の要件が義務付けられます。

具体的な支援責任者の要件まとめ

主な選任要件は以下の通りです。

  • 登録支援機関または企業に所属する職員であること
  • 過去5年間に外国人支援業務に2年以上従事した経験
  • 対象外国人と近親者でないこと
  • 登録拒否事由に該当しないこと
  • 中立性と支援責任を果たせる体制を持っていること

これらの条件は、制度運用の公正性・中立性を確保するために設計されています。

支援担当者の具体的業務

支援担当者は、支援計画に沿って以下の10項目を実施します。

  • 送迎や事前説明・生活オリエンテーション
  • 住居契約や公共料金の支援
  • 公共手続きへの同行、日本語教育機会の提供
  • 相談対応、定期面談(3か月に1回以上)
  • 苦情対応・退職支援・転職支援など

これらはすべて、外国人が理解できる言語で実施されなければなりません。

兼任および複数拠点対応の要件

支援責任者と担当者は兼任が可能ですが、両方の要件を満たす必要があります。また、複数の事業所で支援をする場合、各拠点に対して担当者を選任しなければなりません。

自社で支援体制を整備する企業では、これらの配置要件や兼任の可否、運用フローを社内規定で明確にしておくことが重要です。

企業/機関が準備すべき体制整備ポイント

企業が自社支援を選ぶ場合は、支援責任者・担当者の研修受講、日本語・文化対応体制、支援記録や報告フロー、相談窓口の仕組み構築が必要です。

登録支援機関を利用する場合は、担当者の経験と業務範囲、通訳・多言語対応の体制、支援実績、法令遵守状況を見極めた選定が重要です。

支援業務における注意点とリスク管理

支援責任者・担当者の過度な業務負担が離職リスクや制度運用漏れにつながるケースもあります。担当者への業務分担や代替配置、委託支援の併用などが推奨されます。

また、法令改正や制度改定時期には体制見直しが必要です。特に、母語対応・再研修・記録様式の更新・履歴保存などを定期的に見直すことが求められます。

まとめ|支援責任者・担当者の整備は制度運用の中核

特定技能制度の円滑な運用と外国人材の定着には、支援責任者と支援担当者の適切な選任・運用が不可欠です。要件を正確に理解し、実践的な支援体制を整えることで、制度の信頼性を高めることができます。

企業・登録支援機関ともに、最新制度動向を注視しつつ、支援体制の継続的な改善を行うことが、制度の成功と人材定着の鍵となります。