特定技能「自動車運送業」の可能業務・基本情報・外国人要件・採用条件
作成日:2025年7月29日
最終更新日:

特定技能「自動車運送業」は、深刻なドライバー不足に対応するために2024年から新たに制度対象となった分野です。外国人がトラックやバスの運転業務に就くことができ、物流や交通インフラを支える即戦力として注目されています。制度の活用には、技能試験合格や日本語力、日本の運転免許取得などの要件を満たす必要があり、企業側にも協議会加入や支援体制の整備といった受け入れ条件が求められます。
本記事では、制度の概要から対象業務、雇用条件、支援内容までをわかりやすく解説します。

合同会社エドミール 代表社員
武藤 拓矢
2018年に外国人採用領域の大手企業に入社し、技能実習・特定技能・技人国の全領域に携わる。のべ600名以上の採用支援実績をもとに、登録支援機関「合同会社エドミール」を設立。2025年には4つの商工会議所で「外国人活用セミナー」の講師を務める。
武藤 拓矢のプロフィール特定技能「自動車運送業」で従事できる業務内容
2024年の制度改正により、「自動車運送業」も特定技能の対象分野に追加されました。これにより、外国人が特定技能1号の在留資格でバスやトラックなどの運転業務に従事できるようになり、運送業界の人手不足解消が期待されています。対象となる業務は、「主たる業務」と「関連業務」に分類されます。
主たる業務
主に以下の運転業務が対象となります。
- 一般貨物自動車運送業(トラックドライバー)
- 旅客自動車運送業(バス運転手など)
荷物や乗客の安全かつ確実な輸送が求められ、道路交通法をはじめとする国内法規の理解と遵守が不可欠です。
関連業務
運転業務を支える補助業務として、以下のような作業が含まれます。
- 車両点検・簡易整備
- 運行前後の記録管理・日報作成
- 積み込み・荷下ろしのサポート
これらの業務を通じて、運行の安全性と効率性が維持されます。
特定技能「自動車運送業」の基本情報
特定技能1号の在留資格により、自動車運送分野で外国人が最長5年間就労できます。運送業に必要な日本の運転免許の取得が前提となるため、他分野よりも事前準備や教育体制が重要視されます。
雇用できる人数・期間
在留期間は最大5年(1年、6か月、4か月単位で更新)で、家族の帯同は認められていません。雇用人数の上限は企業規模・安全管理体制などに基づき協議会で調整されます。
特定技能「自動車運送業」で外国人を受け入れる企業の要件
安全運転教育と運行管理体制の整備
自動車運送業は安全第一の分野であるため、企業は法令に基づく安全教育・適正診断・健康管理・事故防止マニュアルの整備などを徹底しておく必要があります。
自動車運送業分野特定技能協議会への加入
企業は、自動車運送分野特定技能協議会への加入が必須です。適正な受け入れ人数の調整、制度のガイドライン共有、報告義務の履行などが求められます。
支援体制の整備(義務的支援10項目)
外国人材が安心して生活・就労できるように、住居の確保、生活オリエンテーション、日本語学習機会の提供、相談対応、転職時の支援など10項目の支援を自社または登録支援機関が実施しなければなりません。
特定技能「自動車運送業」で働く外国人の要件
技能評価試験の合格
外国人が特定技能「自動車運送業」として働くには、分野ごとの技能評価試験に合格する必要があります。試験では運転業務に関する知識、安全確認の理解、実務に即した内容が問われます。
日本語能力の証明
日本語能力試験(JLPT)N4以上またはJFT-Basicの合格が必須です。運行指示の理解、報告・連絡・相談、緊急時対応など、実務に必要な言語能力が求められます。
日本の運転免許の取得
外国人が日本国内でトラックやバスを運転するには、必ず日本の中型または大型自動車運転免許を取得する必要があります。特定技能の在留資格を取得した後、企業の支援のもと免許取得を目指すケースが多くあります。
特定技能「自動車運送業」のよくある質問
Q. 特定技能「自動車運送業」ではどんな仕事ができますか?
主にトラックドライバーやバス運転手として、荷物や乗客の輸送に従事できます。運転に加え、点検や記録管理などの関連業務も含まれます。
Q. 外国人が運転するには日本の免許が必要ですか?
はい。特定技能で就労するためには、日本の中型または大型運転免許の取得が必要です。企業が取得支援を行うケースが一般的です。
Q. 技能実習から特定技能への移行は可能ですか?
2025年7月時点では、自動車運送業は技能実習制度の対象ではないため、評価試験に合格する必要があります。
Q. 日本語力はどのくらい必要ですか?
日本語能力試験(JLPT)N4以上、またはJFT-Basicの合格が必要です。安全確認や運行指示への対応のため、基本的な会話力が求められます。
Q. 支援体制は必ず自社で実施する必要がありますか?
自社での実施も可能ですが、多くの企業は登録支援機関に委託しています。生活支援や行政対応などの負担軽減が期待できます。
特定技能「自動車運送業」まとめ
特定技能「自動車運送業」は、深刻なドライバー不足に対応する新たな解決策として注目されています。外国人材が安全・確実に業務を遂行できるよう、企業は支援体制の整備と法令遵守を徹底することが求められます。
今後、制度の活用とともに教育体制や受け入れの質を高めていくことが、業界全体の持続的成長につながります。