【2027年】特定技能「リネン供給」受け入れ完全ガイド|制度準備と採用戦略
作成日:2025年5月30日
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宿泊施設や病院、介護施設で欠かせない「リネンサプライ業」。シーツやタオル類を洗濯・仕上げ・供給するこの分野では、深刻な人手不足が続いており、現場の多くが慢性的な人材確保の課題を抱えています。こうした背景を受け、政府は2027年を目処に「リネンサプライ業」を特定技能制度の対象に追加する方針を示しており、制度化に向けた準備が進められています。
本記事では、リネンサプライ業がなぜ特定技能に追加されるのか、その背景や対象業務、外国人材を受け入れるために必要な要件、制度開始に向けて企業が今から準備すべきポイントをわかりやすく解説します。将来的に外国人材の採用を視野に入れている企業の担当者の方は、ぜひご一読ください。

合同会社エドミール 代表社員
武藤 拓矢
2018年に外国人採用領域の大手企業に入社し、技能実習・特定技能・技人国の全領域に携わる。のべ600名以上の採用支援実績をもとに、登録支援機関「合同会社エドミール」を設立。2025年には4つの商工会議所で「外国人活用セミナー」の講師を務める。
武藤 拓矢のプロフィール特定技能「リネンサプライ業」が新たに制度対象へ
日本の宿泊・医療・介護業界では、シーツやタオルなどのリネン製品を扱う「リネンサプライ業」が不可欠なインフラとなっています。しかしながら、この分野でも人手不足と高齢化が深刻化しており、外国人材の活用が強く求められています。
そうした背景を踏まえ、2027年を目処に「リネンサプライ業」が特定技能制度の対象分野に追加される方針が明らかになりました。本記事では、制度拡大の背景、想定される業務や受け入れ条件、企業が今から備えるべき準備ステップまでをわかりやすく解説します。
特定技能制度とは?
特定技能制度は、日本政府が2019年に創設した外国人就労制度です。慢性的な人手不足に対応するため、14分野から始まり、2024年に「鉄道」「林業」が追加され、2025年現在では計16分野が制度の対象となっています。
そして、政府は2027年度を目処に「リネンサプライ業」「倉庫管理」「廃棄物処理」など新たな分野の追加を検討しており、すでに制度設計や技能試験の準備が進行中です。
リネンサプライ業とは?
リネンサプライ業とは、ホテル・病院・介護施設などから回収したシーツ・枕カバー・タオル・制服などを洗濯・仕上げ・再納品する衛生管理型の業務です。
業務内容の一例:
- リネン類の回収・仕分け
- 産業用洗濯機での洗浄作業
- 高温プレス・乾燥処理
- 折りたたみ・包装・施設への再納品
感染症対策や納期管理の精度が求められ、高い品質基準と安全管理のもとで行われる業務です。
対象業務(想定)
特定技能「リネンサプライ業」で外国人が従事可能になる業務は、以下のように想定されています:
- 仕上げ業務:アイロン・プレス・たたみ・包装
- 集配業務:リネン製品の納品・回収補助
現在の制度案では、危険を伴わない業務・現場実務が中心とされており、特定技能としての在留資格が与えられる方向で調整が進んでいます。
制度開始の見通し(2027年頃)
政府は2026年度に制度の最終設計・技能試験の実施準備を進め、2027年4月の制度施行を目指しています。すでに、厚生労働省・法務省・観光庁が連携し、制度検討会が定期的に開催されています。
また、関連職種である「ビルクリーニング業」や「宿泊業」と連携した採用モデルも想定されており、施設内業務全体で外国人材を活用する動きが広がっています。
外国人が取得するための要件(想定)
正式な要件は現在策定中ですが、以下の条件が特定技能1号の取得要件として想定されています:
- リネンサプライ技能評価試験(2026年度に開始予定)
- 日本語能力試験(JLPT N4以上 または JFT-Basic合格)
- 適正な雇用契約(労働条件明示・派遣不可)
また、技能実習制度で「クリーニング職種」を修了した外国人材は、試験免除での移行措置も検討されています。
企業が今からできる準備
- 制度の基本理解:制度対象職種、試験内容、支援体制の把握
- 支援体制の整備:登録支援機関との提携、住居・生活インフラの準備
- 求人票作成:職務内容・賃金・福利厚生の明示
- 衛生・安全教育の整備:多言語マニュアルやOJT体制の準備
制度開始時に即採用・即戦力化するには、2025年度中に受け入れ体制の基本構築を始めるのが理想です。
リネンサプライ業界の外国人雇用事例
すでに技能実習制度を活用して外国人材を受け入れている企業もあります。
- 白洋舍リネンサプライ:技能実習で東南アジア出身者を受け入れ、今後の移行候補に
- 地方の中小リネン工場:ベトナム人実習生が中心戦力として定着、制度化に高い関心
登録支援機関の選定ポイント
特定技能外国人を受け入れる際は、生活支援・書類対応を担う「登録支援機関」の活用が一般的です。以下のポイントを基準に選定しましょう:
- リネン業務への対応経験・支援実績
- 対応言語・母国語での相談窓口の有無
- 法令遵守・支援体制が明確であること
支援を内製化する場合は、支援責任者の選任・10項目の義務支援の実施が必要です。
まとめ:2027年施行に向けた「今からの準備」が鍵
リネンサプライ業における特定技能制度の導入は、2027年に正式施行される見通しが高く、業界にとって人材戦略の転換点となります。
「制度を知る・採用ルートをつくる・支援体制を整える」という3つの軸を2025年度中から実行することで、他社に先行した採用成功が実現できます。
慢性的な人手不足の時代に備え、今こそ制度活用の準備を始めましょう。