特定技能1号「介護」5年後の未来とは?今から準備すべき進路選択を徹底ガイド
作成日:2025年7月28日
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特定技能1号「介護」の在留資格では、最大5年間しか日本で就労できません。この期限を迎えた後の進路を、早い段階から計画しておくことが重要です。本記事では、在留資格の切替や帰国、永住の可能性について最新の制度動向を踏まえて詳しく解説します。

合同会社エドミール 代表社員
武藤 拓矢
2018年に外国人採用領域の大手企業に入社し、技能実習・特定技能・技人国の全領域に携わる。のべ600名以上の採用支援実績をもとに、登録支援機関「合同会社エドミール」を設立。2025年には4つの商工会議所で「外国人活用セミナー」の講師を務める。
武藤 拓矢のプロフィール特定技能1号「介護」の在留期間と制度の制約
特定技能1号の在留資格は通算で最大5年間です。法務省の制度上、介護分野には特定技能2号の制度が存在しないため、5年を超えて同じ在留資格で滞在することはできません。制度の上限到達後は、帰国または資格変更が求められます。〔出入国在留管理庁〕
5年経過後の主な進路パターン
特定技能1号で働いた後、主な進路として次のようなケースが考えられます:
- 在留期間満了で帰国するケース
- 介護福祉士資格取得による「介護」ビザへの切替
- 日本人/永住者等との結婚による配偶者ビザへの移行
制度上、在留資格「介護」への移行ができれば、在留期間に制限がなくなり、家族帯同も可能になります。永住申請要件の就労期間にも計上され、キャリア設計の幅が格段に広がります。
介護資格取得と「介護」ビザへの切替条件
特定技能1号で就労する間に、日本の介護福祉士国家試験に合格すれば、在留資格「介護」に変更可能です。これにより、就労制限が解除され、永続的な滞在が可能になります。その際、試験合格のためには実務経験(3年以上/540日以上)や日本語能力が必要です。
さらに2025年からは国家試験に「パート合格」制度が導入され、合格した科目が翌年以降免除されるため、外国人受験者にとって大きなメリットと言えます。
帰国を選ぶ場合の実務対応
特定技能雇用終了後に帰国するケースも少なくありません。この場合、企業は退職手続きや在留資格終了通知、航空券手配などを支援する必要があります。また、帰国後に再び特定技能1号で再入国することは制度上できません。
配偶者ビザなど他資格への切替ルート
日本人や永住者と結婚した場合は、「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の在留資格へ変更が可能です。これにより就労制限がなくなり、安定した滞在が可能となります。
企業が5年後を見据えてすべき準備
早い段階で人材の将来設計を共有し、介護資格取得支援や日本語研修制度、実務経験の記録管理を行うことが重要です。これにより、資格合格者への移行を促し、長期的な人材確保につながります。福利厚生や家族帯同支援も定着率向上に寄与します。
また、契約更新時には業務内容や待遇が制度要件を満たしているか確認し、法令遵守を徹底することで、在留審査のクリアにもつながります。
よくある誤解と注意すべきポイント
- 特定技能1号の就労期間は延長不可。5年を越えての更新はできません。
- 他分野へ転職した場合も、通算5年制限は適用されます。介護→農業などへの移行でもカウントされます。
- 介護ビザへの切替は国家資格が必須。未合格の場合は資格支援体制を整備することが重要です。
まとめ|5年後を見据えるキャリア設計が定着の鍵
特定技能1号「介護」は最大5年の在留期間が定められており、その後の進路の選択が重要になります。帰国だけでなく、「介護」ビザや配偶者ビザを視野に入れて支援を計画すれば、長期的な定着と人材活用が可能となります。
企業と支援機関は早期から資格取得支援・キャリア設計を提案し、制度移行を見据えた支援体制を整えることが求められています。