特定技能「介護」で訪問介護はできる?2025年制度改正の最新情報を解説
作成日:2025年7月28日
最終更新日:
これまで特定技能1号「介護」では、訪問介護(ホームヘルプサービス)への従事が認められていませんでした。しかし、2025年4月の制度改正により、一定の条件を満たすことで、特定技能外国人が訪問介護に従事できるようになりました。
本記事では、特定技能介護と訪問介護の制度的な関係、解禁の背景、必要な研修や自治体の対応、企業側の受け入れ体制まで詳しく解説します。

合同会社エドミール 代表社員
武藤 拓矢
2018年に外国人採用領域の大手企業に入社し、技能実習・特定技能・技人国の全領域に携わる。のべ600名以上の採用支援実績をもとに、登録支援機関「合同会社エドミール」を設立。2025年には4つの商工会議所で「外国人活用セミナー」の講師を務める。
武藤 拓矢のプロフィールこれまでの制度:訪問介護は対象外だった
2024年まで、特定技能「介護」は施設系サービス(特養、老健、グループホーム等)のみに従事が認められており、個人宅で行う訪問系サービス(訪問介護・訪問入浴など)は制度の対象外とされていました。
訪問介護では1人で現場へ行く必要があり、日本語での柔軟な対応力や緊急対応力が問われるため、安全性・指導体制の面から除外されていたのです。
2025年4月:訪問介護が条件付きで解禁
政府は介護人材の深刻な不足に対応するため、2025年4月に制度を一部改正。条件を満たした特定技能外国人が訪問介護に従事できるようになりました。ただし、全ての外国人が従事できるわけではなく、一定の「研修修了」や「現場経験」が義務付けられています。
訪問介護に従事できる外国人の条件
- 特定技能1号「介護」の在留資格を持っている
- 施設系介護事業所での実務経験が通算1年以上
- 厚労省が指定する「訪問介護導入研修(仮称)」を修了している
- 日本語能力が十分と認められる(N3相当または現場評価)
また、初期段階では「日本人の同行支援」や「定期的な業務報告・フィードバック」を受けられる体制が整っていることが求められます。
対象事業所と自治体の判断
訪問介護に外国人を受け入れるには、事業所が以下を満たしている必要があります:
- 指定訪問介護事業者であること
- 日本人職員による指導体制があること
- 外国人受け入れに係る自治体への事前申請が完了していること
自治体ごとに対応方針や条件が異なる場合があるため、各都道府県・市町村の介護保険担当部局へ確認することが重要です。
企業側が整えるべき受け入れ体制
訪問介護従事を想定する場合、企業・事業所側は次の体制整備が必要です:
- 導入研修受講のサポート(研修費・スケジュール管理)
- 訪問先でのトラブル対応マニュアルの整備
- 定期的な個別面談と日本語学習の継続支援
- 登録支援機関との連携強化(支援責任者配置含む)
また、本人と事業所が「訪問介護での業務内容・リスク」を明確に共有しておくことも重要です。
注意点と今後の見通し
今回の制度解禁は「完全解禁」ではなく、「条件付きで段階的に拡大」していく方針とされています。今後、研修制度や自治体対応の標準化が進めば、より多くの外国人が訪問介護に従事するようになる可能性があります。
一方で、制度不適用のまま無許可で訪問介護に従事させた場合は、事業所に対して指導・処分の対象となる可能性があるため、慎重な対応が必要です。
まとめ|特定技能「介護」で訪問介護も選択肢に
特定技能介護制度において、訪問介護への従事が一部解禁されたことは、企業・外国人双方にとって新たな可能性を開くものです。人材不足が深刻な地域・分野において、研修制度や支援体制を整えたうえで、制度を適切に活用することが求められます。
制度理解と運用準備が整えば、訪問系サービスでも外国人材の活用は現実的な選択肢となります。