【2025年最新】特定技能「介護」制度を徹底解説|訪問介護の解禁や申請条件まで網羅

作成日:2025年6月3日
最終更新日:

特定技能『介護』とは

外国人介護人材の受け入れを考えているけれど、制度が複雑でよくわからない。そんな施設・事業所の方も多いのではないでしょうか。

特定技能「介護」は、介護現場の人手不足に対応するために設けられた制度です。2025年には訪問介護も条件付きで解禁され、夜勤や5年後の進路も注目ポイントです。

本記事では、特定技能「介護」の制度概要や受け入れ条件、対応可能な業務、夜勤や在留期間満了後の進路、さらによくある質問まで、わかりやすく解説しています。

初めて制度を検討する方にも理解しやすい構成です。ぜひ最後までご覧ください。

合同会社エドミール代表社員・武藤拓矢

合同会社エドミール 代表社員

武藤 拓矢

2018年に外国人採用領域の大手企業に入社し、技能実習・特定技能・技人国の全領域に携わる。のべ600名以上の採用支援実績をもとに、登録支援機関「合同会社エドミール」を設立。2025年には4つの商工会議所で「外国人活用セミナー」の講師を務める。

武藤 拓矢のプロフィール

【2025年最新】訪問介護が解禁

特定技能「介護」2025年 訪問介護解禁

2025年4月、特定技能1号(介護)の外国人が訪問介護業務に従事できるよう制度が見直されました。背景には、日本の高齢化に伴う慢性的な人材不足があり、政府は有識者会議を通じて「一定条件のもとで訪問系サービスへの従事を可能にすべき」と結論づけた形です。

今回の制度改正では、介護職員初任者研修(130時間)を修了し、1年以上の実務経験を有する外国人が対象です。対象となるのは、技能実習生が2025年4月1日から、特定技能外国人は同年4月21日からとされています。

特定技能「介護」とは

特定技能「介護」基本情報

特定技能制度は、2019年に創設された外国人の在留資格制度で、人手不足が深刻な14分野(現在は16分野)において、一定の技能と日本語力を持つ外国人の受け入れを可能にする仕組みです。介護分野もそのひとつで、即戦力となる人材確保の選択肢として多くの施設が導入を進めています。

「特定技能1号(介護)」の取得には、介護技能評価試験日本語能力試験N4以上、および介護日本語評価試験への合格が必要です。ただし、介護技能実習2号の修了者介護福祉士養成施設の卒業生などは一部試験が免除される制度もあります。滞在期間は最大5年で、原則として家族の帯同はできません。

特定技能「介護」の受け入れ可能施設

特定技能「介護」の受け入れ対象施設

出典:技能実習「介護」における固有要件について [厚生労働省 社会・援護局]

特定技能「介護」の受け入れが可能な施設は、介護保険法に基づくサービスを提供する事業所に限られます。対象となるのは、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、有料老人ホーム、グループホーム、通所介護(デイサービス)、短期入所生活介護(ショートステイ)などです。

従来は訪問介護が制度上対象外とされていましたが、2025年4月の制度改正により一定の条件を満たす場合に限り訪問介護の従事も可能となりました。これにより、外国人介護人材の活用範囲が一段と広がっています。

こうした施設では、業務指導・日本語支援・ハラスメント防止措置など、外国人材が安心して働ける体制の整備が必須です。単なる労働力ではなく、将来的な戦力として長く活躍できる環境づくりが重要です。

特定技能「介護」の施設・事業所の受け入れ要件

特定技能外国人を訪問介護で受け入れる場合、以下の要件を満たす必要があります。

  • 介護職員初任者研修課程の修了と、1年以上の実務経験
  • 訪問介護に関する研修の実施
  • 同行による指導訓練の実施
  • キャリアアップ計画の作成・運用
  • ハラスメント防止に関する措置
  • 安全管理体制・ICT設備の整備

さらに、「訪問系サービスの要件に係る報告書」の提出と、公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)による事前確認が必要です。

特定技能「介護」の申請要件

特定技能1号(介護)として在留資格を取得するためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 介護技能評価試験に合格していること
  • 日本語能力試験(N4以上)または日本語基礎テストに合格していること
  • 介護日本語評価試験に合格していること

ただし、次のいずれかに該当する場合は、試験の一部が免除されます。

  • 介護分野の技能実習2号を良好に修了している
  • 介護福祉士養成施設を修了している
  • EPA(経済連携協定)による4年間の研修を修了した候補者

申請は、受入れ機関が在留資格認定証明書を地方出入国在留管理局に申請し、本人がビザを取得する流れとなります。

特定技能「介護」の夜勤勤務について

特定技能「介護」の外国人も、日本人職員と同様に夜勤業務に従事することが可能です。制度上、夜勤を制限する規定はなく、適切な指導と体制のもとであれば、22時以降の勤務や夜間の巡回業務も担当できます。ただし、日本語での緊急対応や記録作業など、一定の言語スキルが求められるため、配属前の教育と評価が非常に重要です。

夜勤を担当する際には、十分なOJT(同行研修)やシミュレーション研修を通じて、事故防止・業務理解を深めることが推奨されています。また、外国人材の負担を考慮し、いきなり夜勤に入るのではなく、日勤・遅番などを経験した後に段階的に任せる施設が多く見られます。文化・宗教的配慮やメンタルケアも含めた夜勤体制の整備が、長期定着につながります。

特定技能「介護」の5年後について

特定技能1号(介護)の在留期間は最大5年ですが、5年経過後の進路としては「帰国」「在留資格変更」「介護福祉士取得」の3つが主な選択肢となります。特定技能2号には介護分野が含まれていないため、原則として2号への移行はできません。代わりに、介護福祉士を取得して在留資格「介護」へ切り替えるルートが現実的なキャリアパスとなっています。

介護福祉士国家試験に合格すれば、家族帯同も可能な長期就労・永住申請の道が開けます。そのため、多くの事業所では特定技能の段階から計画的に支援し、研修・試験対策・実務経験の積み重ねをサポートしています。外国人本人にとっても、キャリアの選択肢を広げられる5年間の活用が重要です。

介護業務が可能な他の在留資格

介護業務に従事できる在留資格は、特定技能だけではありません。他にも以下のような在留資格があります。

  • 介護: 国家資格「介護福祉士」取得者が対象。訪問介護も可能。
  • EPA介護福祉士候補者: 合格後は就労可能だが、訪問介護には非対応。
  • 技能実習(介護): 原則として施設介護のみ。訪問系は対象外。
  • 身分系在留資格(日本人配偶者等): 制限なく介護業務に従事可能。

それぞれの在留資格で就労範囲・要件・更新条件が異なるため、正確な制度理解が重要です。

特定技能「介護」の注意点

特定技能外国人を受け入れるうえで、以下の点にも注意が必要です。

  • 1号特定技能外国人支援計画の作成と実施
  • 住所・勤務先などの変更届出義務
  • 介護分野の特定技能協議会への加入
  • 日本人と同等の労働条件・待遇の確保
  • 日本語学習支援・相談体制・ハラスメント防止の整備

特に訪問介護では、単独業務・緊急対応・移動中のリスクがあるため、マニュアル整備や職員間の連携強化が不可欠です。

特定技能「介護」のよくある質問

特定技能「介護」に強いおすすめの登録支援機関はありますか?

介護向け登録支援機関おすすめランキング」や「登録支援機関おすすめランキング」で紹介しているのでぜひご覧ください。

特定技能「介護」の外国人は訪問介護ができますか?

はい、2025年4月の制度改正により、一定の条件を満たした特定技能外国人は訪問介護業務に従事できるようになりました。ただし、事前研修や同行支援などの要件を満たす必要があります。

特定技能「介護」の外国人は夜勤に入ることができますか?

制度上は夜勤勤務も可能です。実際の配置は、事業所の判断と研修体制により異なりますが、日本語能力や緊急時対応力などを見極めた上で任せるケースが多くあります。

在留期間の上限はありますか?

特定技能1号の在留期間は通算で最大5年です。5年経過後は、原則としてそのまま延長することはできません。今後も就労を希望する場合は在留資格の変更が必要です。

5年後も日本で介護の仕事を続けられますか?

続けたい場合は介護福祉士の資格を取得し、在留資格「介護」へ変更する必要があります。この資格を取得することで、長期在留や家族帯同も可能になります。

特定技能「介護」で家族を呼ぶことはできますか?

特定技能1号では、原則として家族の帯同は認められていません。家族帯同を希望する場合は、介護福祉士取得後に在留資格「介護」へ変更する必要があります。

特定技能「介護」まとめ

2025年の制度改正により、特定技能「介護」の対象に訪問介護が加わりました。これにより、介護現場の選択肢が広がり、外国人材の活用が一層進むと見込まれます。

一方で、受け入れ施設には研修・支援体制・法令遵守など多岐にわたる整備が求められます。人材不足の解消とサービス品質の両立を実現するためにも、制度を正しく理解し、計画的な受け入れを進めていきましょう。